朝。
天気は晴れ。
気分は上々。

 

靴を履いて、今日も颯爽と出かけようとしたそのとき。
足元で異変が起きた。

くるぶしソックスが……
勝手に脱げるのである。

 

いや、正確には「少しずつ下がっていって、最終的にかかとの下に丸まって、靴の中で寝袋状態になる」

のである。

私が選んだのは、ごく普通のくるぶしソックス。
別に百均でもないし、素材も綿混でちゃんとしてるやつ。

「これでいいんだよ、これで」なんて思いながら履いたはずなのに。

歩き出して100歩。異変。

200歩。確信。

300歩。靴を脱ぎたくなる…

靴下が完全に自立をやめ、足裏にくしゃっと団結していた。

 

店舗に到着。
右足だけ靴下が脱げかけている。
けれど、靴は脱げない。誰にも見せられない。

接客中も、私は一人密かに靴下の居場所修正ゲームを開催していた。

「バレずに直せ、でも目は笑え。」

 

正直、もうロングソックスにしたらいいのかもしれない。
でもね、あのチラッと見えるくるぶし、好きなんだ。

脱げるくるぶしソックス。
イライラするけど、ちょっと愛おしい。

 

人生と一緒で、思い通りにいかないからこそ、ちょっと笑えるんだよね。
（靴を脱ぐまでは笑えないけど。）